筋トレ。この熱狂を最初に数字で表しておこう。
| 年 | 推計人口 | 実施率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 2000年 | 約 726万人 | 7.3% | 一部の愛好家やアスリートが中心 |
| 2012年 | 約1,053万人 | 10.3% | 健康志向の高まりで1,000万人突破 |
| 2024年 | 約1,629万人 | 15.9% | 2000年の約2.2倍 国民の6人に1人 |
笹川スポーツ財団の調査による、自宅や公園、ジムなど場所を問わず「年1回以上筋トレをした」という人の推計。 ポイント: 2010年代半ばから急増し、コロナ禍の「宅トレ」ブームを経て、現在は完全に国民的な習慣として定着してきている。
| 年 | 施設数(推計) | 主な市場環境 |
|---|---|---|
| 2012年 | 約3,000 ~3,500 | 総合型クラブが中心 RIZAP等のパーソナルジムが注目され始める |
| 2019年 | 約6,100 | エニタイムフィットネス等の24時間ジムが全国に浸透 |
| 2024年 | 約8,000以上 | chocoZAPの爆発的普及と、パーソナルジムの乱立 |
| 2026年 | 約10,000超 | 大手チェーンだけで6,000店舗超 個人ジム含めるとさらに拡大 |
統計データにより「大型店舗のみ」か「小規模スタジオ・パーソナルジム含む」かで数字は変動するが、帝国データバンク等の調査では、大手チェーンの店舗数だけでこの10年で約2倍に増えたとされている。
現在、日本のフィットネスシーンはいまだかつてない盛り上がりを見せている。街を歩けば、かつてのコンビニのように24時間オープンのジムが次々と誕生し、年齢や性別を問わず、多くの人々が自分自身の健康と真摯に向き合う時代になった。
この波に乗って、筋トレ系ユーチューバーといったインフルエンサーが知識を発信したり、関連商品やアプリ開発も凄まじい勢いで進んでいる。今やスマホを開けば、筋トレMemoといった重量や回数を入力するだけでボリュームを自動計算し、洗練されたグラフを生成してくれる優秀な記録アプリがいくつも見つかる。効率と最適化、そして最短経路を求める現代において、デジタルの進歩は確かにボクたちのトレーニングをスマートにしてくれた。
けれど、ボクがセット間のインターバルで、荒い息をつきながら手に取るのは、スマホではない。あえて、一本のペンを走らせ、自らの手で記帳しなければならないノートを選んでいる。
デジタル技術が日々進化し、スマホに指先一つで全てが完結するこの時代に、なぜわざわざ手書きにこだわるのか。
それは、この効率化の対極にあるような書くという泥臭いプロセスこそが、人生を豊かにしてくれる大切な時間だと気づかされたからだ。
デジタルかアナログか|手書きを選んだ理由
もちろん、アプリへの移行を考えなかったわけではない。ボクなりに、デジタルとアナログの利点と欠点を天秤にかけてみた結果、次のような結論に達した。
| 比較項目 | ノート | アプリ |
|---|---|---|
| 長所 | ●自由度が高い:図や体調、感情を自由に書ける ● 記憶に残りやすい:書く動作で意識が高まる ● 集中力の維持:スマホの通知に邪魔されない ● 達成感:使い切ったノートが努力の証になる | ● 利便性:スマホ1つで完結し、荷物が増えない ● 自動計算:総重量の算出やグラフ化が瞬時 ● 過去の参照:前回の記録が自動で表示される ● データ管理:カレンダー等で頻度が可視化される |
| 短所 | ● 荷物になる:ノートとペンを持ち歩く手間 ● 分析が大変:計算やグラフ作成がすべて手作業 ● 検索性が低い:過去の特定の記録を探しにくい ● 紛失・劣化:汚れたり失くしたりすると復旧不能 | ● 誘惑が多い:SNSや通知で集中が途切れやすい ● 入力の制限:アプリの枠外のメモが書きにくい ● データ消失:故障やサービス終了のリスクがある ● 操作の手間:画面操作やフリック入力の煩わしさ |
デジタルは記録には最適だが、ボクが求めていたのは記録の先にある実感だった。
画面をタップする無機質な動作は、今しがたバーベルを握りしめていた手のひらの熱を、急速に奪い去っていくような空虚さを伴う。対して、前のページをめくり、前回の自分と対峙しながら、震える手で今日の重みを書き込む。最後に赤ペンでその日の感想を書いたりもする。
この一連の泥臭い行為こそが、ボクにとってはトレーニングの一部であり、自分にやっている感を与えてくれる本質的な報酬なのだ。
出会いは机の奥で待っていた

ボクが今、トレーニングの相棒として選んでいるのは、プラス社のスリムノートCa.Crea(カ.クリエ)だ。A4の3分の1サイズという独特なサイズ感を持つこのノートとの出会いは、実を言えば、筋トレを始めるよりもずっと前のことだった。

かつてのボクは、「今日からメモを習慣にするぞ」と意気込んでは、このカ.クリエを大量にまとめ買いしていた。
しかし、ズボラな性格が災いし、そのほとんどが一度も開かれることなく、机の引き出しの奥で、静かに出番を待つ机の肥やしとなっていたのだ。
筋トレを始めてしばらく経ち、便利そうなアプリの存在を知っても、ボクの足はアナログから動かなかった。
アプリに蓄積されたデータは、果たして将来、ボクに数十冊の使い込まれたノートを眺める時のような喜びを与えてくれるだろうか。何より、アプリを開発したメーカーが無くなってしまったら、ボクが積み上げてきた成長の軌跡も一緒に消えてしまうのではないか。
そんな時、ふと目に留まったのが、あの引き出しに眠っていたカ.クリエだった。
「とりあえずこれに記帳してみるか」という軽い気持ちでジムへ持ち込んでみたところ、驚くほどトレーニングノートに適した長所が見えてきたのだ。
単なる数値の更新を確認するだけならアプリで良い。けれど、筋トレを通じて得られる確かな成長の軌跡や実感を、ボクはこのノートの中に見出していた。
成長実感に欠かせないカ.クリエの機能美
カ.クリエが、数あるノートの中でボクの手放せない道具の一つとなった理由は、その徹底した機能美にある。
① 携帯性とサイズ感:ジムという特殊空間でのベストバランス

A4の3分の1サイズという絶妙なスリムサイズ。これがジム内を移動する際、この上なく心地よい。
メモ帳のように小さすぎて記録が窮屈になることもなく、かといって一般のノートのように大きすぎて持ち運びに困ることもない。トレーニングに深く集中している最中、道具の置き場所に困るようなストレスを完全に排除できるこのスリムな形状こそが、ボクの集中力を削がないメリットとなりえる。
② 視認性の高さ:瞬時に前回の記録を確認できる視覚的配慮
また、このノートは、朦朧とした意識下でも確認がしやすいという親切さも備わっている。

ロルバーンを彷彿とさせる目に優しいクリーム色の紙質は、激しいセットを終えて疲弊している時でも視認しやすい。前回の記録内容も把握しやすい。こうしたストレスを最小限に抑える配慮が、次のセットへの高い集中力を維持させてくれる。
③ 180度フラットに開く:瞬時に記録に移れる
トレーニングノートに必要な機能であり、意外と重要なのが開きやすさ。カ.クリエは、糸がかり製本を採用しているため、パタンと180度フラットに開く。
分厚いノートにありがちな、手で押さえていないと勝手にページが閉じてしまう煩わしさがない。限界まで追い込み、指先が震えているような瞬間でも、瞬時に記録に移れるスムーズさも集中を途切れさせない。
④ 5mm方眼:専用データベースを構築する自由度の高さ
自由度の高い5mm方眼。ここに独自のフォーマットを構築している。

筋トレには、負荷を段階的に高めていくことで身体を適応させる漸進性過負荷の原則*1という考え方がある。そのため、前回の自分を客観的に把握し、超えていくためのPDCAサイクル*2は、トレーニングにおける基礎中の基礎となる。当然、過去の記録を見返す頻度は非常に高くなる。そこでボクは、前回の内容を瞬時に確認できるよう、5mm方眼をガイドにして定規で一本、また一本と区切り線を引いている。
3分割法、4分割法といったその時々のサイクルに合わせて誌面を能動的に区切り、使いやすさを組み立てていくプロセス。これこそがボクにとっての快適性であり、カ.クリエに求めた本質の一つなのだ。
*1 筋肉や体力を向上させるために最も重要なトレーニング原則。筋肉が慣れていない「過負荷(ストレス)」を少しずつ「段階的(漸進的)」に増やし、重さ・回数・セット数などを段階的に高めることで、効率的に筋肥大や筋力向上を促進させる考え方。
*2 Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)4工程を循環させ、継続的に業務改善や品質向上を図るマネジメント手法です。1950年代にデミング博士らが提唱し、目標達成のために計画的に実行、評価、対策を行うことで、段階的なレベルアップを実現させる。
筋トレ継続5年目|カクリエが支えてくれたもの
物事を続けるのが苦手だったズボラなボクが、筋トレを始めて5年目に入っている。継続できている理由は、このカ.クリエという相棒との相性の良さに他ならない。書き方のルールさえ一度決めてしまえば、このノートはボクにとって世界で唯一の、そして最高のデータベースとなる。
前のページをめくって過去の自分と対峙し、荒い息をつきながら、「ハァハァ」と今日の記録を書き込む。筋トレと同様、負荷を伴う筆記行為そのものが、ボクに確かな成長実感を刻んでくれる。
半年、あるいは一年前のページをめくってみる。あの時重く感じていた重量が、今はアップの重量になっている。使い切って膨らんだノートの背表紙、汗でわずかに波打った紙の質感。それらは、アプリのデータには決して真似できない、ボクがジムで自分を裏切らなかった時間の物理的な証拠となっている。
道具やモノを自らの意志で選び、理解し、快適な生活環境を構築していく。そのプロセスを愛でること。
ボクはこれからもカ.クリエを手にジムへと向かう。今日という日の成長を刻み込むために。
あなたも自分の部屋の押し入れや机の中に眠っている道具を、一度確認してみてほしい。今という時代の手助けとなる相棒が、眠りから覚めて自分の出番を待っているはずだ。

